2014/09/24

リトアニア映画ユリュス・ジスの短編




■MEANWHILE A BUTTERFLY FLIES
(蝶が飛んでいる間に)2002年/52分/フランス

■THE WINDOW
(窓)1989年/18分/グルジア・リトアニア

■AND THE PIG WAS BORN
(そして豚が生まれた)2000年/23分/アメリカ

■THE WOLF
 (狼)2008年/20分/リトアニア


Julius Ziz(ユリュス・ジス) 1970年リトアニア生まれ。かのジョナス・メカスに師事。
未知の監督作品を見るには勇気が必要、なわけだがユリュス・ジスという監督に対してはそのような勇気など必要もなかった。それはまず「ジョナス・メカスに師事」とあったし、それからリトアニアという国のせいもある。リトアニア?場所だってはっきりわからないし、リトアニアってジョナス・メカス以外に映画撮ってる人いたのか。しかし、とても評判がよさそうだし、なんといっても「ジョナス・メカスに師事」だ。やはり作品はよかった。
MEANWHILE A BUTTERFLY FLIESはジョナス・メカスをカメラで追ったドキュメンタリーで、これはよくある映画監督の奇行を捉えたもの。といってもジョナス・メカスはやっぱり面白いし、かっこいいのだ。何がかっこいいかって、ずっと笑っていることだ。
他、短編はどれもストローブ=ユイレくらいによくって素敵なのだが、なかでもTHE WINDOW、これは衝撃である。窓のなかにいる老婆、そこにやってくる子供。また老婆の独りの食事。窓の外の風景と人。これほど単純な要素でストーリーなどない、ただただ映し出すことの素晴らしさが溢れていて感動してしまった。@2014/09/21渋谷アップリンク

※リトアニアのリキュールがサービスで飲めた。ソーダ割にしたら薄かったので、もう一杯飲みたかったけど、恥ずかしくて言えなかった。残念。

リアリティのダンス / アレハンドロ・ホドロフスキー



【作品データ】
題名:リアリティのダンス
原題:La danza de la realidad
公開:2013年チリ、フランス
監督:アレハンドロ・ホドロフスキー
脚本:アレハンドロ・ホドロフスキー
制作:モイゼス・コシオ/ミシェル・セドゥー/アレハンドロ・ホドロフスキー
出演:ブロンティス・ホドロフスキー/パメラ・フローレス/イェレミアス・ハースコビッツ/アレハンドロ・ホドロフスキー

久々に新しい映画を見てしまった。見てしまった、というからには何か曰くが連想されるだろう。90年代以降の映画を殆どといっていいほど見なくなった事実を、ここで目の当たりにしたようだ。アレハンドロ・ホドロフスキーといえば、ポップカルチャー的ヴィヴィットな色彩がいかにも南米を思い起こさせ、それに魅惑された人々が多く、それもいまも尚ひっそりと受け継がれている(と、思う)。そういった意味で映画を見ることも、もちろんおおいにある(ジャン・ルノワールやゴダールの色彩!)。南米ではないが、ペドロ・アルモドバルの初期作品なんかもスペインらしい赤際立つ色彩であることも事実。
「リアリティのダンス」は色彩だけの魅力ではなく、85歳のホドロフスキー監督がそれまでの生き様のなかでの悲愴や不条理などを、それこそ「リアリティ」に描くことにある。負にあたる要素はあくまでもリアルに描きつつ、ダンスと称した幻惑に交差させている、まさにホドロフスキーの映画。だけども。私はそれほど魅了されなかった。リアリティというのは映画的体験非ず、というのが率直な感想。@2014/09/21アップリンク
リアリティのダンス

2014/09/17

ベルイマンを読む 人間の精神の冬を視つめる人




【作品データ】
題名:ベルイマンを読む 人間の精神の冬を視つめる人
文献: フィルムアート社
作者:三木宮彦
分類:映画関連本
発刊:1986年

スウェーデン映画がいかなる歴史を辿りつつあったのか、という事実は、今から知ろうとしても無理がある。ウプサラというストックホルムの北に位置する都市の首都との関係や風習は一般的な知識といってもほとんど何も知らないにひとしい。ことさら、ベルイマンの家系がプロテスタントで、父親は僧職を奉じていたいた過去も皆無だ。ベルイマン自身の幼少時代、青少年交流計画でドイツに短期滞在し、大音量でワーグナーを聞いてナチかぶれた事実は当時スウェーデンの不満でシニカルな青年にとってはむしろ自然な成り行きであったこともスウェーデンの国内状況を知らないからピンとこないのだ。そういうなかでベルイマンの映画制作状況と実生活の環境をパズルのように照らし合わせていく。
「第七の封印」の自己顕示欲はいったいどこから生まれついたのか。以前のみずみずしさは、制作会社の意向に沿った作品でしかないのか。それならば、なぜ「第七の封印」以前の作品はこんなにも映画的なんだろうか!ひとりの監督の解説本として、たいへん完成された一冊。

 ベルイマンを読む―人間の精神の冬を視つめる人 (ブック・シネマテーク 8)

2014/09/06

夏の遊び / イングマール・ベルイマン



【作品データ】
題名:夏の遊び
原題:SOMMARLEK
公開:1951年スウェーデン
監督:イングマール・ベルイマン
制作:アラン・エーケルンド
撮影:グンナール・フィッシェル
音楽:エリック・ノードグレーン
出演:マイ・ブリット・ニルソン/ビルイェル・マルムステーン/アリフ・シェリーン

【評】
ベルイマンの作品をすべて見たわけではないが、「夏の遊び」をベルイマンの中でいちばん好きだと公言することは、早まった考えでもなさそう。みずみずしさがスクリーンかたはじけてきそうな、夏の思い出。そこには以降の作品群に見える思想が感じられず、ただ映画というものを撮ったと言わんばかりに思える。とりわけ、デートをすっぽかしてバレエの練習をしている彼女のもとへ、ドアをドンドン叩いて恋人の青年が犬といっしょに入ってくるシーンが素晴らしい。カメラは踊る足元のつま先立ちを手前で捉え、焦点は踊る足の向こう側の青年と犬が座っている。ここだけを何度も何度も繰り返し見たい。飽きるまでみたい。